「気功」で考える感情のコントロール
「気功」の視点で、さまざまな生活習慣を考える
4)感情と臓器は「気」でつながっている
「気功」で考える感情のコントロール
「肝が縮む」「腑に落ちない」「胸が塞ぐ」など、日本語には、身体で感情を表す慣用句がたくさんあります。それだけ、感情と身体の状態とが密接に繋がっていることを示しています。
約2600年前にまとめられた中国最古の医学書である『黄帝内経』には、内臓と感情を結びつける考え方の原型が記されています。
前提として、「物事を恐れ、あれこれ思いをめぐらせていては、精神的にダメージを被る」と注意をうながし、「悲しんだりする気持ちが度をすぎると、その感情が臓器に影響をおよぼし、生命を失うことになる」と警告しています。その上で,心臓、脾臓、肝臓、肺、腎臓の五蔵と感情の関係について言及しています。
『黄帝内経』の理論では、人の情の動きを理論的に整理し、7つに分類しました。それが今日の中医学で「七情」と呼ばれている精神や感情の状態です。心臓が「喜」、脾臓が「思」、腎臓が「恐・驚」、肝臓が「怒」、肺が「悲・憂」に相応します。
例えば、競馬の万馬券や宝くじが当たって、心臓発作で死ぬ人がいますが、これは喜の感情が極まって心臓を害したからです。
また、人はあまりに恐怖を感じたとき、知らないうちに失禁したり、ときに髪が一夜にして白くなったりします。尿や血という体液といった水のめぐりは腎臓の機能、恐れの感情と大いに関わっています。
いずれの感情もそれ自体が悪いわけではありません。ただし中庸を失って過剰になることがいけないのです。
逆に臓器を強くすることで、感情を落ち着かせることができます。現代人は計画した時間通りに物事を処理しなければいけないという強迫観念にとらわれ、目先の「しなければならないこと」ばかりにかまけています。だから何事も余裕を持って行うことができません。中庸からほど遠い暮らしをしがちです。そうなると、考えるべきこともまともに考えられなくなります。
感情が千々に乱れて、思慮ばかりが先行してしまうのは、臓器のバランスが崩れているから起こるのです。各臓器を順番に強くしていく。そうすると不安だけや喜びだけに没頭したり、感情に引きずられることは減り、考え方にメリハリが出てきます。
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