「気功」とは何か
1.病気を治す――気功の力は「本能力」
現在でも気功の使い手が多くいるのは中国です。中国だけといっても過言ではありません。しかし私は、もともとは、洋の東西を問わずに「気」を操る人はたくさんいたと信じています。その昔、西洋も東洋もなく、人間は気功ができたのです。とりわけ宗教家や修行者は、気功の力で病気を治していたと考えます。
宗教家や修行者といった指導者たちは、エネルギーに対して柔軟に対応できる訓練を行っているのです。今の中国のように、系統だって気功の勉強をしなくても、彼ら宗教家・修行者は、悟りを開く過程において、自然と「気」を操る術を身に付けることができました。
どこに「良い気」があり、「悪い気」があるかということを鋭く感じる必要があるため、コントロールできるようになったのだと思います。それが結果として、病気を治すことに繋がったのです。
そして、彼らが厳しい修行を積むうちに、本能力を磨いたのです。
「気」とは、この本能力で操るものなのです。
しかしこれは何も、宗教家としてその道を極めていった人だけが持っているものではありません。そもそも、人間ならば、誰でも持っているはずの能力なのです。それを使えるようになったか、ならないか、というだけの違いです。
普通の人でも、本能の力が高まった時に、思いもかけない能力を発揮します。
たとえば、自分の子どもが怪我した時に、母親が「痛いの痛いの、飛んでいけ」と言葉をかけながらさすっているうちに、子どもが落ち着くということはよくあります。
本当に痛みを感じなくなる。つまり母親が「気」をコントロールして、子どもから「悪い気」を取り払っているのだと考えられます。
でもその母親は、普段から「気」をコントロールできているかといえば、そうではないと思います。自分の子どもを助けたいという、せっぱ詰まった状態だからこそ、無の境地に入り本能が働き、「気」を操る能力が増したのです。
人間ならば、どんな人にでも「気」を操る力は備わっています。ただ、それを使うための無の境地にはいれるかどうかで、使いこなせるかどうかが変わってくるのです。
私は、「気の力」を超能力として捕らえることには反対です。私に言わせていただきますと、世間で超能力と呼ばれる能力は、実は人間が本来備えている能力のことです。
文明社会の中で、人間はだんだんとその能力を使わないようになり、退化してしまっただけのことです。ただ、先に記しましたように、修行を積むなどすることで雑念を取り去ったり、愛する子どものために集中することで、無の境地に達した場合に、その本能的な力が湧き出してきます。
その意味で私は超能力という言葉を避け、「本能力」と呼ぶのです。
2.気功の基本は「良い気」を取り入れ「悪い気」を出すこと
健康な生活を送るためには、「良い気」を取り入れ、「悪い気」を出すことが大事なのです。
こうした「気」の交換は外気功と呼ばれています。さらにその「気」を循環させ、自分でコントロールできるようにする訓練、それが内気功です。この両者を練習することによって、気功ができるようになるわけです。
「気」の力で闘う中国古来の武術があります。これは硬気功です。身体の外の「気」を操り、敵対する相手を倒す術のことで、いわば「気」を用いて人に傷を与える術です。
そして、私が研究を続けているのは、総合気功法です。外気功と内気功、両方の長所を活かしながら経絡を通じさせ、体内に「良い気」を取り入れ、「悪い気」を出すことで健康を維持するという術です。
気功の基本は、次の6点につきます。
①「良い気」を入れる。
②「悪い気」を出す。
③ 通じないところを通じさせる。
④「悪い気」を作らない。
⑤「悪い気」を入れない。
⑥「良い気」を作る。
病気の施術のために気功を行うのですが、理想をいえば病気に罹らないのが一番。健康を害するのを防ぐ意味でも、「悪い気」をいかに入れないようにするかを心がける必要があると言えましょう。 他人が出した「悪い気」を取り入れない。また、他人に向けて「悪い気」を出さないのもエチケットのひとつです。
実は、人間の「悪い気」とは、足の先から出て行くのです。ですから私は病院の見舞いに行く時は、患者の足元には決して立ちません。足から出る「気」が入り込んで、あなたまで病気になる可能性があります。
「良い気」は頭から入り、「悪い気」は足から出ていく。これが「気」の流れの基本です。
3.大明気功の基本的な考え方――「病気は自分で治すもの」
私は大明気功院に来院される方々にまずお願いしていることは、気功というものを理解していただくということです。そして、私の考え方に基づくアドバイスを真剣に実践されているかどうか、それがとても大切です。
気功院での施術は、長い日常生活のうちのほんのひととき。気功院での施術をいくら繰り返しても、「悪い気」はいたるところから身体に入ってきてしまいます。
それを防ぎ、「良い気」を身体に送るためには、何よりも気功を理解し、アドバイスを守ってくださることが大切なのです。
私のアドバイスの中には、気功というものをご存じなかった方にとって、にわかに信じがたいことも含まれていると思います。
例えば「気の悪いところへは行ってはいけません」と言っても、「そんなに気にすることはないだろう」とたかをくくられる方が実に多いのです。
また、「タバコを吸ってはいけません」と言っても、どうしてもやめられない人がいます。しかし何よりも身体は正直です。「悪い気」を得てしまえば、そのすべては症状として如実に身体に顕れてしまうのです。
さらに、気功によって疾患を克服するためには、ご自宅での気功の練習がとても大切です。私の指導に従って、毎日毎日練習を積み重ね、「良い気」を身体に入れ、通じさせる。
気功には、種も仕掛けもありません。手品でも奇術でもないのです。「気」を操作するためには日々の鍛錬が不可欠なのですが、それは一朝一夕に上達するものではありません。
だからこそ、気功を信じ「気功で治す」という意志を持てば、病気は必ず良い方向へ向かいます。
4.大明気功が推奨する「大雁功」
「大雁功」の動功は、大明気功が目指している「良い気」を身体の中に取り入れ、経絡を通じさせ、「悪い気」を身体の外に出すことができる非常に優れた外気功の練功です。
中国で最も尊敬されている気功師のひとり、楊梅君大師によって伝えられた功法です。
数千種類の気功があると言われる中国において、政府が1998年に審査・認定し公布した11種類の健康気功法の1つです。
その動作は、朝から夜までの雁の一日の生活を模しています。その一連の動作によって、身体の各部位の経絡を通じさせるとともに、必要な部分にバランス良く「気」を確保できるのです。
優れた効果がある一方で、正確さを要求されるので、必ずしも簡単かつすぐに正しい功法を習得できないかも知れません。始めから全部は無理だとおもった方は、「短縮版」でもいいですから、毎日行ってください。
なお、大明気功で紹介している大雁功は、私の理解に基づき「良い気」を取り入れることを充実させるべく改良したものです。現在普及している大雁功とは、若干違っている部分があります。
5.大明気功のめざすもの
気功は、元来人間が持っている本能力ですが、この能力を発揮するには、先天的な素質や偶発的なきっかけによる場合もありますが、基本的には正しいトレーニングによる能力開発が必要となります。能力を持った指導者のもとで正しい指導を受けることで、難病の克服、病気の早期発見(把握)と早期対処、病気の予防や健康増進、そして様々な能力開発のために利用すべきものであると考えます。
また、「悪い気」による悪影響を断ち切り、自分の周りに「良い気」による良い環境を作り、世の中にも良いエネルギーで良い影響を与えること、これも気功の大切な役割です。
そして、医師や科学者と協力して気功を研究し、現代の医学と科学をさらに大きく進歩させ、人類に貢献することが大明気功の大きな目標です。
※ なお、気功とは何か、気・病気・気功の考え方について
もっと詳しくお知りになりたい方は、
青島大明著『病気がすべて治る「気」の医学』、
『からだを自分で変える「気」の医学』、
『「気」の医学で難病・奇病を治す』、
DVDブック『病気を自分で治す「気」の医学』
『「美人」気功』、
『病を治す哲学』-伝説的医書『黄帝内経』の驚異-、
『なぜ あなたの病気は治らないのか』
-霊から身を守る「気功」と「法術」の医学-
(講談社刊)などの著書やこれまで取材された
メディア掲載記事などをご参照ください。